Q.春闘とは何でしょうか?要求を飲まなかった場合は不誠実な団体交渉になりますか?

質問

春闘ってなんですか?応じなければなりませんか。要求を飲まなかった場合は不誠実団交になりますか。

 

回答

一言で言えば,春に行われる労使間の賃上げ交渉です。団交自体には応じるべきです。交渉の結果,要求に応じられなかったからといって不誠実団交にはなりません。

 

【解説】

当事務所がご相談に預かっている会社に対しても,春闘の要求書が届き出ます。春闘とは「春の賃上げ交渉」です。多くの労働組合,企業が春に賃金に関する交渉をしています。

 

しかし,これまで労働組合のなかった企業にとっては,賃上げ=昇給については,交渉で決めるものではなく,会社の意思で決めるものという発想だったかと思います。この発想自体はあながち間違いではありません。

 

賃金設定は,原則として「労働契約」によって定まるものであり,その労働契約において,昇給は会社が決めるものとなっていることがほとんどだからです。

 

しかし,労働組合は,この時期に「要求」として賃上げを要求します。

会社はこの「要求」に従う義務があるわけではありませんが,賃上げの要求をむげに断れば,労使間の関係が極めて悪化し,スト,抗議行動などの争議状態になるかもしれません。

 

また,要求を断るのであれば,多かれ少なかれ,会社として要求に応じられない理由を説明しなければなりません。

 

しかし,団体交渉は,労組側の要求を飲むことを強制されるものでもありません。交渉の結果,要求をお断りすることになったとしても,そのことをもって不誠実団交になるわけではありません

 

はじめて春闘に臨むに際しては,従来の昇給制度を把握しつつ,労組側の要求の実質をみて,どのような回答をすべきか,どのように交渉を進めるべきかをしっかり検討しなければなりません。初手を間違うと,その後の交渉に差し障りが出ることがあります。

 

検討に際しては,経験のある弁護士に相談されることをお勧めします。

03-3519-3880