団体交渉・労働組合対策

団体交渉についてよくあるご相談

当事務所には労働組合との団体交渉に関する様々なご相談が寄せられます。

最も多い類型は、「解雇(雇い止め)したら、労働組合から加入通知が届いた」というご相談でしょうか。解雇して、雇用契約が終わっているのに、労働組合になんて入れるのか?という経営者の疑問からはじまり、解雇理由が備わっているかどうか、訴訟等になった場合に勝ち目がないと思われる場合にどのように対応すべきかなどといったことをお答えさせていただいております。コロナ禍では、非正規雇用の労働者の雇止めなどが多く発生しましたが、「弁護士に委任して訴訟をするほどではないけれども、一矢は報いたい」というような場合に労働組合に加入したケースがありました。

残業代請求もよくあるご相談類型の一つです。退職後に請求するケースでは、最初から弁護士に依頼することが多いですが、在職中に残業代を請求するケースでは労働組合に加入して請求するケースがかなり多くなっています。当然、この場合は残業代問題が解決しても、労働組合とのお付き合いは続くことになります。

それまで、「うちの規模で労働組合なんて」と思っていた会社に突然、労働組合が出来ることもあります。労働組合のイメージが大企業中心の企業別労働組合だと、「うちの規模で」という発想になってしまいますが、今は1人でも入れる労働組合が主流となってきており、むしろ企業内組合のない中小企業や非正規雇用を多く雇用している企業などで労働組合の問題が発生することが多いのです。

団体交渉対応を弁護士に依頼するメリット

法的無知につけ込まれない

労働組合は、労働関係諸法規をよく勉強していて、経営者の無知を追及してきます。「法律を知らなかった」というのは法律違反の言い訳にはなりませんので、法律違反の点をきっかけに様々な要求をのまざるを得ないことになるかもしれません。

そこで、団体交渉に臨むに当たっては、その企業にウィークポイントともいえる法律違反となっている点がないかをチェックする必要があります。団体交渉に臨む前に弁護士に対応を依頼しておけば、法律違反の点についてカバーし、団体交渉では「その点はすでに修正しました」と答えることができるでしょう。ウイークポイントは突かれる前に無くしておくべきなのです。

団交で失言しない

団交に慣れていない担当者が犯してしまいがちなミスは「しゃべりすぎ」、「黙りすぎ」です。黙りすぎに関しては大きな問題にはなりにくいのですが(労働組合からは「なんとか言わんかい」と言われるかもしれませんが)、しゃべりすぎは問題です。しゃべりすぎは、揚げ足を取られ、「あの時こう言った」と労働組合側に追及される術を与えてしまうことになるので控えるべきなのです。

そこで、団交前の打ち合わせでは、ミニマムかつシンプルな答えを用意します。団体交渉はディベートの場ではなく、審判もいないのですから、労働組合の言い分にうまく言い返せなかったからといって直ちに企業側に不利益が生じるものではありません。仮に、答えるべきことに答えられなかったとしても、団交後に改めて回答すれば良いのであって、その場で即答出来なくとも直ちに「不誠実交渉」となるものではないのです。

当事務所の弁護士に団交をご依頼いただく際には事前の打ち合わせを入念に行います。その打ち合わせでは、

・今回の団交で最低限答えておくべきこと

・想定される労働組合側の要求、追及内容とそれに対する対応

・その団交の落としどころ

などをお話しさせていただき、実際の団交に臨みます。

頼りになる

当事務所の原が団体交渉に出席し始めた約12年前には団交に企業の代理人として出席する弁護士はほとんど見当たりませんでした。しかし、それ以前とそれ以後で労働組合というものの本質に差はありませんので、企業経営者や担当者の方々は労働組合対応に非常に苦慮されていたのです。

原が団体交渉に出席するようになった頃、当時の原は若手弁護士であるうえ、それ以前に団交出席の経験がほとんどなかったのですから、企業の方々にとっては頼りないと感じられる部分もあったかもしれません。しかし、原に出席を依頼してくださった企業の方々は口を揃えて「一緒に出てくださってありがとうございます」とおっしゃっていただきました。企業側にとっては、右も左もわからない団体交渉に若手の弁護士といえども一緒に出席するだけでも精神的な安定をもたらすことができたのだと思います。

今では、当事務所では年間50〜60回程度の団交に出席し、経験を得たことで、ただ一緒にいるだけではなく、実を伴った頼りがいを提供させていただけるものと自負しております。

依頼から解決までの流れ

労働組合問題については、その紛争の内容によって何をもって解決とみるかが変わってきますが、典型的な解雇の問題について一例を挙げます。

まず、ある企業が従業員を解雇したところ、労働組合から加入通知書、団交申入書や要求書が届きます。ここで、「一度、試しに自分たちで団交をやってみるか」ではなく、すぐに当事務所にご相談いただきたいところです。知識のないままに第1回団体交渉に出席してしまうと、思いもよらない不利な要求を飲んでしまうこともあります。

まずは、依頼するかしないかは別にしても、当事務所にご相談ください。ご相談時には、その労働組合の性質や要求内容に照らして、どのように団交を進めるべきか、相談企業が目指すべき落とし所などをアドバイスさせていただきます。その際に、弁護士のサポートが不要と考えられるような事案であれば率直にそのようにアドバイスさせていただきます。

弁護士のサポートが必要と考えられる場合、当事務所とご契約いただき、団交の日程調整、団交開催前に当事務所サイドに必要な資料をご用意いただき、当日までに打ち合わせを行います。

今回は解雇問題を想定していますので、就業規則、解雇した従業員の雇用契約書、解雇通知書、解雇理由の根拠となる資料などをご用意いただきます。そのうえで、打ち合わせ時に解雇理由となった事実について訴訟上の証明に耐えられるだけの証拠があるか、解雇が相当といえるかどうか(解雇が重すぎないか)などを吟味します。

そして、解雇が有効と判断される可能性の高い事案については、強気で対応しても大丈夫であることを説明させていただき、団交当日は労働組合側の過大または不当な要求には応じない方針で望むことを確認させていただきます。逆に、解雇が無効と判断される可能性の高い事案については、労働審判や労働訴訟で負けるリスクを説明させていただき、そのような事態にならないためにも早期に和解的解決を目指すべきであることをお伝えさせていただきます。ただ、このような和解的解決を目指す場合であっても、当事務所の弁護士は依頼者である企業の利益を一番に考え、企業にとって影響の少ない和解案の内容を検討させていただきます。

一般的な事案の解決までの流れとしては、第1回団体交渉までに労働組合の要求書に対する企業の回答を準備し、第1回団体交渉に望むこととなります。その後の団交の開催回数は事案によって様々ではありますが、和解の機運が高まった場合は当事務所が主体となって合意書を作成し、最終的に企業と労働組合間で調印して事件終了となります。

JPS総合法律事務所の強み

繰り返しになりますが、当事務所の強みは一にも二にも団交経験の豊富さにあります。

十数年前までは団交に積極的に出席する弁護士は見当たらず、経験豊富な弁護士であっても生の団交を経験している者は非常に少ない状況でした。昨今は団体交渉への対応をサービスとして提供する法律事務所も増えておりますが、当事務所はそのような他の法律事務所が団交に取り組む以前から積極的に団交に出席し、そのノウハウを培って参りました。

当事務所の現在の年50回〜60回という団交実績は右に出る法律事務所はいないものと自負しており、その豊富な団交経験から労働組合の性質等も考慮した具体的な団交戦略をご提案させていただくことが可能となっております。当事務所は労働組合対策でお悩みの企業様のお力に必ずなれると思いますので、自分で労働組合に対応される前に是非一度ご相談ください。

解決事例

運送業者の事例

解雇をした従業員が加入した労働組合から解雇の撤回とこれまでの残業代を請求された事案でした。

団交申入書を受け取ってからすぐにご依頼がありましたので、迅速に方針を決定することができ、第1回団体交渉の際には、会社は解雇を有効と考えていること、残業代は正確に計算して支払う意向であることを弁護士から労働組合に伝えました。そうしたところ、労働組合側も争点を残業代の金額のほうに絞り込んでくれたようで、その後はタイムカードを開示するなどのやり取りを経て、短い期間で最終的な和解に至ることができました。この労働組合のメンバーとは他の案件でも相対したことがあり、意思疎通が比較的スムーズに行えたことも早期解決の一因であったように思います。

建設業者の事例

給与の支給条件を一方的に変更されたことに不満をもった従業員が労働組合に加入した事案でした。

会社の前では連日にわたって労働組合が街宣活動を行っていたこともあって、会社の代表者が当事務所に来所されたときはかなり疲弊した様子でした。会社側が行った一方的な支給条件の変更は法律違反の可能性がありましたので、最低限の解決金を支払うかわりに、当該従業員には合意退職していただくということを大きな方針として決定し、団体交渉に臨みました。なかなか手強い労働組合であったため、団交も交渉決裂となる一歩手前まで紛糾することもありました。もっとも、依頼者の精神面をサポートしながら、根気強く対応した結果、最終的には3か月分の給与に相当する解決金を支払って、その従業員には合意退職していただくという当初の目標通りの解決を図ることができました。

サービス・費用

サービスの内容

団体交渉への同席、団体交渉に向けた打ち合わせ(団体交渉とは関係のない労務関係の法律相談も含む)、団体交渉に関連する書面作成など、団体交渉の解決に向けたすべての作業を支援いたします。

なお、打ち合わせは、対面によるものに限らず、メール、電話、Chat、Zoom等のweb会議にも対応しております。

費用

当事務所は団体交渉の案件は他の案件と異なって、依頼者である企業様との間で日常的な情報共有を行うことが良いアドバイスを行う上で必須のものと考えております。このようなことから、当事務所は団体交渉への対応案件については単発の交渉案件という形ではご依頼をお受けしておらず、当事務所との顧問契約の締結を条件にご依頼をお受けしております。

団体交渉に同席する案件については月10万円の法律顧問料(団体交渉が月2回以上となる場合は2回目以降については団交日当1日あたり5万円が別途必要となります)、団体交渉に同席しない案件については月5万円の法律顧問料が必要となります。

文責:弁護士 津木陽一郎、弁護士 原英彰

03-3519-3880