問題のある社員の円満退職にむけて

解雇要件の箇所でも説明していますように、問題となる労働者の行為が、就業規則に解雇事由として記載されているからといって、簡単に当該労働者を解雇できるものではありません。解雇が有効と認められるためには、①解雇に合理的な理由があり、かつ、②解雇権の行使が相当であることが必要となります。

 

解雇の要件等について慎重に検討することなく、解雇を通告してしまったような場合においては、後から労働者に解雇の無効を主張され、裁判所での紛争に発展し、多額の損害賠償金を命じられるケースも珍しくありません。

 

 

使用者としては、解雇という手段に一定のリスクがあることを十分に認識し、問題となる労働者がいたとしても、当該労働者に対する解雇権の行使は最終手段とし、まずは当該労働者との間で十分な話し合いを行い、円満に退職してもらうことが賢明な選択といえます。

 

そして、問題社員の円満退職にむけては、当該社員の就業状況を常日頃から十分に把握し、必要に応じて業務改善命令等を発するなど、当該社員との間で問題意識を共有しておくことが重要です(仮に後に解雇権を発動することになった場合であっても、再三の注意指導がなされた経緯は、解雇権の有効性を基礎付ける事情となります)。

当該社員との話し合いの過程に外部の専門家を同席させるなどの方法も有用です。また、場合によっては、一定の解決金を支払ってでも当該社員に円満に退職してもらったほうが良いケースもあるでしょう。

 

当事務所は、使用者側の労働事件を数多く扱っており、問題社員の円満退職にむけたアドバイスもさせて頂いておりますので、お気軽にご相談ください。解雇した場合の有効無効を検討した上での具体的な方法をアドバイスさせて頂きます。

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