固定残業代

固定残業代とは、労働者に対して割増賃金の支払いに代えて一定額の金員を事前に支給することをいいます。手当として支給される場合(手当型)と基本給に組み込んで支給される場合(組込型)があります。

 

法的に正当な固定残業代として認められると、この固定残業代としての支払金額は、割増賃金を計算する際の基礎賃金から除外されるとともに、仮に割増賃金が発生している場合であっても、固定残業代として支払った金額が計算された割増賃金から控除されることとなります。

 

ただ、会社から労働者に対する「一定額の金員」の支払いが「固定残業代」と認められるためには、支給されている金員が時間外の割増賃金に当たる部分として、通常の労働時間の賃金に当たる部分と明確に区分されていることが要件となります(明確区分性)。最高裁判所もこの「明確区分性」については、常に必要であると判示しています。

 

会社として固定残業代の支払いを行う場合は、上記の明確区分性の要件に注意をして、労働者に対する周知、就業規則の整備を進めることが重要です。上記の要件を具備しない「固定残業代」は、逆に基礎賃金に含まれ、割増賃金を増額させてしまうこともありますので注意が必要となります。