1 ハラスメント対策の重要性
職場におけるハラスメントは、職場において労働者の能力発揮を妨げるばかりでなく、企業の社会的評価を著しく低下させることにもなりかねない雇用管理上の問題です。
また、一旦発生すると職場内で以前のような関係を再度構築することが困難となったり、被害者にとりかえしのつかない傷を負わせることになります。
そのため、職場におけるハラスメントは予防、防止が非常に重要といえます。
また、ハラスメントが発生した場合の使用者の民事上の責任について考えますと、使用者は①安全配慮義務違反による債務不履行責任(労働契約法第5条、民法第415条)、②不法行為に基づく損害賠償責任(民法第709 条、第 715 条)を負う可能性があります。ハラスメントがあった場合、使用者は不測の支出を強いられることになります。
さらに、この被害者の請求権の時効は10年と非常に長く、だいぶ以前に退職した者からハラスメントを理由とした損害賠償を請求されるケースもあります。
以上のように、ハラスメントを放置しておくと、企業の社会的評価が低下するばかりでなく、金銭的にも不測の支出を強いられることがあり、企業の経営に支障が生じる可能性さえあります。今の時代、企業にとって日頃からのハラスメント対策は必須といえるでしょう。
2 具体的なハラスメント対策
企業としてハラスメントに対する方針を策定し、従業員に対して周知啓発することが重要となります。
①職場におけるハラスメン卜防止の目的、②職場におけるハラスメン卜の定義・概念、③相談窓口・苦情処理手続き、④懲戒の内容、⑤プライバシーの保護、⑥苦情申出者に対する不利益処分の禁止、などについて企業としての基本的方針を策定します。
そして、就業規則への記載、社内報への掲載や朝礼・会議などを通じて、従業員に周知啓発することが大切となります。
当事務所は、使用者側の労働事件を数多く取り扱っております。具体的なハラスメント対策についてもお気軽にご相談ください。