派遣先の団交応諾義務

労働組合からの団体交渉の申し入れがあった場合、その労働組合に使用者の雇用する労働者が加入しているのであれば、使用者には団交に応じる義務(団交応諾義務)があります。労働者派遣の場合、その労働者を雇用しているのは派遣会社ですから、その労働者の加入する労働組合の団体交渉を受けるべきは派遣会社であることが原則となります。

 

しかし、労働組合法上の「使用者」とは、「雇用主から労働者の派遣を受けて自己の業務に従事させ、その労働者の基本的な労働条件等について、雇用主と部分的とはいえ同視できる程度に現実的かつ具体的に支配、決定することができる場合」にも使用者であるとされています(朝日放送事件・最判平成7年2月28日民集49・2・559)。

 

したがって、派遣先は、その派遣労働者を雇用していないからといって、直ちにその派遣労働者の所属する労働組合からの団体交渉申し入れを拒否できるものではなく、要求されている団交のテーマ次第では、団交応諾義務を負うということになります。

 

当事務所は、派遣会社や派遣先の双方の立場のいずれも団体交渉の経験が豊富です。お困りの際は、ぜひご相談ください。