Q. 団体交渉をオンラインで対応することは可能でしょうか?

質問

団体交渉にはやたらと怖い顔の人が来たり、大声で怒鳴られることもあると聞いたことがあります。
オンラインなら怖くないと思うので、オンラインでお願いしたいと思うのですが、可能でしょうか。

回答

企業には団体交渉に応じなければいけない義務があるとされており(団交応諾義務)、団交に応じる義務の意味は「会見する」ということであると考えられているため、オンラインでの団体交渉を求めてもそれは実質的には団体交渉を拒否しているものであるとして労働組合から拒否されることになると思われます。

しかし一方で、コロナ禍においては、緊急事態宣言が出ていることやまん延防止措置の期間中であることを理由に企業側が団体交渉の開催を拒否することが多く見られました。未曾有の感染拡大の事態に人が集まって、大声で協議する団交の開催が望ましくないことは言うまでもありません。

当事務所で取り扱った事例でも企業側がコロナ禍を理由に団交の開催の延期を求めたところ、労働組合の側からオンラインでの団体交渉を行うことを求められたことがありました。先の「会見する」という意味での団交の意義からすれば、このようなオンライン団交に企業側が応じる義務があるかどうかは疑問ですが、オンラインでの団交であれば感染リスクもなく、怒号が飛びかってもパソコンの音量を絞れば済みます。

問題は、コロナ禍が収束した後もこのようなオンラインでの団交の形態が存続しうるかですが、古く「会見すべき」とされていた際に議論されていたのは電話や持ち回りの形での協議であったのに対して、現在のオンライン会議システムであれば、顔は見えますし、多数人が参加することも可能です。このような観点からコロナ禍が収束したとしても、企業側がオンラインでの団交の開催を求めることに一定の合理性はあるものと思われます。

しかし、労働組合としては、直接企業側と顔を合わせて、硬軟合わせた交渉を行うことに腕の見せ所があるでしょうから、コロナ禍収束後はオンラインでの団交については労働組合に拒否されることが多くなるでしょう。

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