いわゆる第2組合ができ、中立保持義務の問題が生じた事例

相談前

 当該会社には、いわゆる社内労組があり、掲示板の貸与や組合事務所の貸与等の便宜供与を行っていました。ところが、一部の従業員が外部の労働組合に加入し、社内労組と同等の条件での便宜供与を求めてきました。会社としては社内労組があれば、そのような外部の労働組合に入られる事は無いであろうと思っていたため、対応に苦慮し、当事務所に相談に来られました。 

 

相談後

 確かに、会社に複数の労働組合が併存的に存在する場合、いわゆる中立保持義務というものが存在します。しかしながら、1つの労働組合が、団体交渉等を通じて獲得した条件をそのまま他の労働組合にも与えなければいけないというものでもありません。当然、組合員数やそれまでの交渉経緯なども鑑みて、何を持って中立なのかを考えなければいけません。当該会社においても、その外部労組との団体交渉を通じて、外部労組の規模に応じた便宜供与を与えることで合意しました。

 

弁護士からのコメント

 ユニオンショップ協定のある社内労組があれば外部の労働組合が介入する余地は無いと誤解している経営者の方は多いです。社内労組に対して一定の便宜供与を図る事はあり得ることではありますが、他の労働組合が結成される可能性もあることを考えて、社内労組との協議を行う必要があると思われます。